ぽつんぽつんと書くブログ

飽きっぽいので、我慢せずに飽きることを許容しながら、ぽつんぽつんと生まれてくるブログ

Boox T68 LYNX雑感

 どんな性能か、どんな機能か、巷にほとんど情報がないので買ってみるまでよくわからない。
 スペックについては販売元のページを見てもらうとして、ここでは、大雑把に性能を説明したい。

動作速度

 動作速度は、以前「中華パッド」と呼ばれていた、少メモリ+シングルコアのAndroidパッドそのもの。お世辞にも快適とはいえないし、「不快感までは感じない」というのすら嘘になるくらい遅い。アプリ内での動作(例えば電子書籍のページ送り)は遅いながらも指に追従してくるけれど、アプリをまたがる動作(例えばホームボタンでホームに戻るなど)は、タップして2秒後に動き出すくらいの感覚。設定にもよるけれど、電車にのるときに起動したものの、目的の駅についても電子書籍のアプリを開くことができなかった…、ということもありえなくはない。
 少メモリなので、常駐するアプリは入れないほうが懸命だ。途端に速度が低下してしまう。本当に必要最小限のものを吟味して入れたほうが良いし、遅いと感じたらTask Manager系のアプリケションで犯人(メモリ喰い)を探してアンインストールしよう。常駐することが多い、同期を要するアプリケーションはおすすめしない。

バッテリーの持ち

 バッテリーの持ちは、期待したほどは良くない。いわゆるAndroidパッドとして使おうとすると、Nexus7などと同等のペースで電池は消費される。E Inkのくせに…。
 公称では、電池は2週間程度持つことになっているけれど、それには秘密がある。T68独自の省電力機能として一定時間経過すると端末を電源OFF(スリープではない)する機能があり、これがからくりとなっている。こまめに電源を切れば電池が長持ちするのは液晶でも同じである。少なくともバッテリーの持ちについてはE Inkも液晶も体感上の差はないだろう。

Bluetoothテザリング

 あとなぜかわからないが、Nexus5を母艦としてBluetoothテザリングしようとすると、接続はされるが通信できない、という現象が起きている。Wifiテザリングはできているので致命傷ではないが、とても不便である。海外の例ではBluetoothテザリングできているケースも見られたので、必ずしもこうなるとは限らないが、こういうケースが現に発生している、という覚悟だけはしておいたほうがいいかもしれない。

パッドの位置ずれ

 パッドの位置ずれ。この端末の最大の特徴(ネガティブなものだけど)と言っていいだろう。タッチ位置と認識される位置が1cm程度ずれる。特に画面の上端と下端の3分の1部分で大きくズレが生じる。ダメなエリアは合計で画面の3分の2にも及ぶから、まともにタップできるとは思わない方がいい。上下方向にだけずれるので、慣れてくると、「ずらしてタッチする」ワザを習得できるから致命傷とまでは言えないがかなりストレスが貯まる。

フォント

 フォントは、CJKフォント(いわゆる中華フォント)なので「直」の字などがおかしい。気になる人はRootを取ってフォントを変更する必要がある。

E Inkと画面の視認性

 画面の視認性は、よからずあしからず。液晶と比べて特に見やすいと感じない。ただしここは個人差があるだろう。フロントライトを完全にオフにできるので、ライトのないE Inkのあの感じが好きな人には悪くない(自分はそう)。
 電源OFF時など、通電していない画面に表示される画像は、くっきりとしていて色も濃く、印刷されていると見紛う画質だ。これはKindleなどと同じだ。しかし、Androidの動作中は文字が薄くぼやけて表示される。太めのフォントに置き換えると改善される。
 Androidスリープ時には、スリープ中を示す専用の画像が表示される。つまり、省電力のために、ページ送りの時以外はスリープする、といった運用はできない。せめてこれができれば、多少なりともE Inkを使っているアドバンテージは稼げたかもしれない。

電子書籍リーダー

 Kindleアプリ、絶版マンガ図書館などのアプリが動作する。しかし、KindleのようにページめくりのアニメーションをOFFにできないものについては、ページ切替時に画面が激しい明滅を繰り返す。E Inkは数ページに一度、白黒が明滅するのが嫌いだ、という人が多いが、1ページごとに「激しい」明滅を繰り返すから、この点についてはKindle PaperWhiteなどには遠く及ばない。「いろんな電子書籍リーダーアプリが動く」という利点のために、画面の明滅を妥協する、というところだ。

スピーカーやマイク

 スピーカーやマイクはないので、音声読上げを使いたい場合はイヤホンを挿す必要がある。音楽を聞きながら電子ブックを読めるほど器用なやつではないので(メモリが少ないので大変な思いをする)、音楽を聞くのは諦めたほうがいいだろう。
 マイクがないが、この端末で音声チャットをするのは(遅くて)無理だから問題はない。音声検索についても、ブラウザは起動する気力が失われるほど遅いので(正確には、起動した頃には何を検索しようとしていたか忘れてしまうほど遅いので)マイクなどなくても問題ない。

ペン入力

 ペン入力に期待する諸氏もいるかもしれないが、パッドの位置ずれがひどいので全くもって話にならないから、購入してはならない。したがって手書き入力とか、手書きメモとかは諦める必要がある。

結論

 以上の次第なので手帳的な使い方は絶望的である。
 パッド的な使い方も絶望である。

 結局出発点である「いろんな電子書籍リーダーアプリが使える」E Ink電子書籍リーダーというところに帰ってくるのだった。でも、こういう変態端末やめられないんです…、という私のような中毒患者にはご褒美です。